ひとりで遊ぶゲームを起動するのに、サーバーの許可がいる。2026年はそういう年になった。
『Halo: Campaign Evolved』が7月23日、早期アクセスの配信を開始した。1990年代の名作FPS『Halo: Combat Evolved』のリメイクで、正式ローンチは7月28日。シングルプレイ専用なのにサーバーへのログインが必須で、クラッシュも多発。Steamのユーザーレビューは「賛否両論(Mixed)」に沈んだ。
HALO公式チャンネルのローンチトレーラー。映像だけ見れば、文句のつけようがない出来なんだけどね。
70ドル払った人から順に、遊べなくなった

問題の中心にあるのが、70ドル(約1万600円)の「プレミアムエディション」だ。正式発売の5日前から遊べる、という触れ込みだった。
配信開始直後からサーバーが過負荷になり、シングルプレイのキャンペーンすら起動できないという報告が続出した。Steamのレビュー欄には「ログインに失敗する。サーバーが混雑していてオフラインのはずのモードすら遊べない」という声。GamesRadar+によれば、レビュー総数1,666件のうちおよそ32%が否定的だった。
問題はPC版だけではない。Windows Centralの報道では、Xbox Series X|SストアやPC向けXboxアプリでプレミアム版を買った人が、早期アクセスそのものに数時間まったくアクセスできない状態が続いた。Halo Studiosのサポートチームは問題を認識していると公表し、7月23日19時24分(現地時間)のアップデートで一部を修正。電源の入れ直しやキャッシュ削除を呼びかける対応に追われた。
金を払わなかった人だけが、快適に遊べていた
ここからが今回いちばん皮肉な話だ。
この厳格なMicrosoftアカウント連携をめぐる混乱をよそに、正規版の発売からわずか4日前の時点で本作は非公式にクラックされていたとTechPowerUpなどが報じている。SteamアカウントもMicrosoftアカウントも不要で動く違法コピーが、すでに出回っていた。
正規購入者はアカウント連携エラーやメールアドレスの不一致に苦しみ、違法コピーはそういう制約から自由だった。金を払った人間だけが不便を強いられるという構図ね。
誤解のないように書いておくと、違法コピーを擁護する気は微塵もない。ただ「海賊版のほうが体験として優れている」状況を自分で作ってしまったのは、企業側の設計ミス以外の何物でもない。DRMは本来、正規購入者を守るために存在するものだ。
ちなみに正規版でも、SteamとMicrosoftで登録メールが違うと連携エラーが起きやすいこと、デジタルアートブックDLCが原因でメニュー画面から進めなくなる不具合があることが判明していて、一部プレイヤーは該当DLCを削除して回避していた。
「2026年ゲームの三頭の魔物」
PC Gamerはこの状況を、「バグ、不要なログイン要件、貧弱なサーバー」=2026年のゲームリリースにおける三頭の魔物と表現し、本作をその典型例に挙げている。
同記事によればSteamでのユーザースコアは68%で、PC Gamer自身のレビュースコア(100点満点中70点)とほぼ同水準。グラフィックのちらつきやフレームレートの急落といった不満も出ていた。
有料早期アクセスというモデル自体を問題視する声も上がった。Kotakuのザック・ズウィーゼン氏は「”早期アクセス”とは実質的に存在しない概念で、企業が金を払わない客へのアクセスを遅らせているだけだ」と手厳しく批判。発売から5時間経っても多くの購入者が遊べていない状況を踏まえ、「早期にプレイできると約束して金を取った以上、機能しなかったのなら返金するのが筋だ」と主張した。
読者に対しては「動くようになるまで金を払わずに待つ」という選択肢を勧めている。この助言、身も蓋もないけれど正しい。
編集部の見解:中身は本当に素晴らしい。だから腹が立つ

ここまで散々書いてきたけれど、作品そのものの出来は、かなり良い。
Forbesのレビューは「見た目は非常に美しく、出来も良い」と評価。Windows Centralはオリジナル版の課題を解消する「趣味の良いゲームプレイ・レベルデザインの追加要素」、スカル要素とリミックス機能による「優れたキャンペーンのリプレイ性」、新規前日譚ミッション「Operation: METEORITE」の面白さを挙げて、「Xboxの看板タイトルにふさわしいトップクラスのリメイク」と総括している。
操作面の刷新も丁寧だ。グレネードをL1、武器切り替えを△に割り当て、L3でいつでもスプリント。ウォートホッグの操作性を改善し、体力パックを廃止してシールドと体力が自動回復する仕様に変更。『Halo 2』以降の敵、ビーム・スナイパー、レイスといった車両も追加された。最大4人の協力プレイにも対応している。
そして何より、シリーズ史上初のPlayStation参戦だ。長らくXbox専用ブランドだったHaloが、ついにPS5に来た。これは25年待った出来事で、それ自体が祝われていい。
だからこそ余計に腹が立つ。これだけ手間をかけて磨いた中身が、ログイン画面ひとつのせいで届かなかった。何百人が何年もかけて作ったものの第一印象を、サーバー設定が壊したことになる。
Windows Centralは同時に「パフォーマンスはもっと改善できるはず」と指摘し、キャンペーン以外の協力プレイモードがない点、プレイヤーカスタマイズの乏しさも弱点に挙げている。50ドルという価格については「この値段ならもっと多くを求めたい」と手厳しい。
それでも言いたいのは、ここで叩かれている理由の大半は、ゲームの中身と関係がないということだ。名作リメイクとして真面目に作られている。それが伝わる前に土俵の外で転んだのが、本当にもったいない。
正念場は7月28日
Halo Studios側は、ログイン障害を報告していたユーザーがその後20時間以上プレイできていることを踏まえ、サーバー側の問題は概ね改善されつつあると示唆している。一方、フレームレートなどの技術的な課題については「開発チームへのフィードバックとして共有した」という説明にとどまった。
正式ローンチの7月28日までに技術面がどこまで改善されるか。そして50〜70ドルという価格に見合う磨き込みを見せられるか。
ちなみに同じ2026年の秋には『CoD:モダン・ウォーフェア4』がベータでキャンペーンを丸ごと遊ばせにきている。信用を失った側が現物を先に出す、という流れとは真逆の躓き方をしたわけで、シューターというジャンルの中でも対照が際立つ形になった。
参照元
- GamesRadar+ – Halo: Campaign Evolved launches to “mixed” Steam reviews thanks to server login issues
- PC Gamer – Halo remake reviews totter as fans lament the 3 horsemen of 2026 game releases
- Kotaku – If You Lock Early Access Behind A Paywall, It Better Work Or You Owe People Refunds
- Windows Central – People paid big money for Halo: Campaign Evolved’s early access on Xbox
- XiaomiToday – Halo: Campaign Evolved Cracked Before Launch as Paying Players Face Microsoft Account Issues
- PlayStation.Blog(公式) – 13 ways Halo: Campaign Evolved modernizes the iconic FPS
- Windows Central – Halo: Campaign Evolved is the top-tier remake Xbox’s legendary flagship deserves
- Forbes – ‘Halo: Campaign Evolved’ Review: Pretty, Pretty Good