『タイタンクエスト2』正式版は1月19日、無料PoE2の39日後に50ドル

39日。基本無料になったばかりの『Path of Exile 2』の熱が冷めるには短すぎるその間隔に、THQ Nordicは49.99ドルの値札を持ち込むことにした。

要点

  • ギリシャ神話ハクスラ『Titan Quest II(タイタンクエスト2)』の正式版1.0が2027年1月19日に決定。PS5・Xbox Series・PC(Steam/Epic)で同時発売、PC版49.99ドル・コンソール版59.99ドル。基本無料化する『Path of Exile 2』正式版(2026年12月11日)の39日後にあたる。
  • 日本では:Steamの早期アクセス版は4,950円で購入できるが、対応言語に日本語が無い。正式版の円建て価格は未発表、国内のコンソール版の発売日・価格も未発表。
  • 早期アクセスを買った人は追加出費なしで1.0を迎えられる。これから買う人は、定価が現行の34.99ドルから49.99ドルへ15ドル上がる前か後かを決めることになる。

発売日を告げたのは2026年9月23日、THQ NordicがSteamに投げた「ヘルメスからの特別便」と題した告知だった。神話の使者に扮した文面をはがすと、中身は3行で済む。2027年1月19日、早期アクセス終了、PC版は49.99ドル。Gematsuが同日に伝えたところでは、コンソール版は59.99ドル/59.99ユーロで、PS5とXbox Seriesが初めて加わる。

開発はGrimlore Games、『SpellForce 3』を作ったスタジオで、2006年の前作を作ったIron Loreではない。発表は2023年8月13日のTHQ Nordic Digital Showcase。そこから正式版まで3年5か月、早期アクセス開始からは536日。シーズン制を持たない買い切りのキャンペーンを掲げている。

「2026年末」の約束は、19日だけ破られた

早期アクセスが始まった2025年8月、GameSpotのインタビューでリードシステムデザイナーのBalint Marczinは正式版の目標を2026年末と語り、3か月ごとの大型更新を約束していた。1月19日は、その約束から数えて19日のはみ出しになる。

この程度のズレを遅延と呼ぶのは意地が悪い。ただ、Grimloreは遅れることに慣れているスタジオでもある。早期アクセス自体、当初は2024年から2025年にかけての冬に始まるはずだった。それを2025年夏まで動かした理由を、PC Gamerが2025年5月に伝えた声明でGrimloreは「想定していた発売時期にARPGをめぐる騒音が多すぎた」と説明している。名指しした競合は『Path of Exile 2』『ディアブロ4』『Last Epoch』の3本。

騒音を避けておよそ半年待ったスタジオが、今度はその騒音のど真ん中に正式版を置く。ここが今回の決定でいちばん引っかかる点ね。

タイタンクエスト2の発表から正式版までの年表。2023年8月13日発表、2025年8月1日早期アクセス、2026年12月11日にPoE2正式版、2027年1月19日に正式版1.0発売
発表から正式版まで3年5か月。最後の39日間に最大の競合が割り込む。Loot Times作成

39日先に、無料になったPoE2が立っている

『Path of Exile 2』の正式版1.0は2026年12月11日。GamesRadar+が8月25日に伝えた通り、その日から全プラットフォームで基本無料になり、早期アクセスで取っていた30ドルの入場料は消える。剣を使う新クラスDuelistと、残っていた最終2章も同時に入る。

つまり1月19日の『タイタンクエスト2』は、39日前に無料で完成した最大の競合と、同じ客の同じ時間を奪い合う。片方はタダで、片方は49.99ドル。しかもコンソールなら59.99ドル。値段の勝負を仕掛けているのではなく、値段では戦わないと決めたということね。

Grimloreの側に理屈が無いわけではない。PoE2は複雑さを売りにする作品で、PoE2の正式版から1か月経つころには「もっと軽いものが欲しい」層が必ず出てくる。買い切りで、シーズンに追い立てられず、2つのマスタリーを組み合わせるだけでビルドが決まる『タイタンクエスト2』は、その受け皿として悪くない位置にいる。

そして、正面の敵がいない。ブリザードの『ディアブロ5』は2029年春で、『ディアブロ4』はSwitch 2移植を出したあと大型拡張の予定が無い。2027年1月の時点で、大手の有料ハクスラの新作としては目立った競合が見当たらない。PoE2の影に入るか、PoE2に疲れた人の避難先になるか。答えは1月に出る。

開始時29.99ドル、いま34.99ドル、正式版は49.99ドル

値段の階段を並べると、このゲームの商売がよく見える。2025年8月1日の早期アクセス開始時は通常29.99ドル、初週は20%引きの23.99ドル。9月25日現在のSteamの定価は34.99ドルで、日本では4,950円。そして正式版は49.99ドル。初週の23.99ドルで飛び込んだ人と1月に49.99ドルで買う人では、同じゲームに払う額が2倍以上違う。

Steamの早期アクセスは、買った時点で正式版まで含めて所有する仕組みだ。だから今のうちに34.99ドル、日本なら4,950円で買ってしまえば、定価ベースで1月19日に15ドル分得をする。9月25日時点ではさらに30%引きの3,465円(米国では24.49ドル)で売られていて、セールの期限は未確認だが、差はもっと開く。正式版まで4か月弱、早期アクセスの「未完成」を我慢する対価としては、かなり分かりやすい。

コンソール版は59.99ドルで、こちらは早期アクセスの割引を一度も受けられない。PS5とXbox Seriesのプレイヤーは最初から満額、しかもPC版より10ドル高い。THQ Nordicはこの差額の理由を告知で説明していないし、Gematsuの記事にも無い。コンソール版に何か付くのか、単に相場に合わせただけなのか、ここは正式版までに答えが欲しい。

タイタンクエスト2正式版の要目。発売日2027年1月19日、PS5・Xbox Series・PC、PC49.99ドル・コンソール59.99ドル、早期アクセスは2025年8月1日から約1年半、Steam評価18,271件で好評81%、日本語はSteamの対応言語に無し
正式版の要目。日本語の行は9月25日時点のSteamストアの表記による。Loot Times作成

18,271件で好評81%、褒めるべきはマスタリー6種の自由度

Steamのレビューは9月25日時点で18,271件、好評14,866件・不評3,405件で好評率81%、区分は「非常に好評」。1年半の早期アクセスを経て81%を保っている数字で、THQ Nordicが告知で「数十万人の冒険者」と胸を張るのも、この母数を見れば嘘ではなさそうね。

この作品の芯は、前作から引き継いだマスタリーの仕組みにある。固定のクラスを1つ選ぶのではなく、マスタリーを2つ選んで掛け合わせる。2026年8月のBuild 0.7.0で6つ目のSpiritが入り、PCGamesNの整理ではアクティブスキル10・パッシブ26を持つ召喚型で、ライフを削って強化する仕掛けまである。Grimloreが9月18日に公開した公式ビルド例は、WarfareとSpiritを組ませて光線を撃ち続ける「Revenant」だった。6つの組み合わせは15通り、そこにスキルの選び方が乗る。ここは全力で褒めていい。ビルドを組む楽しさを、ハクスラで一番わかりやすい形で残している。

同じ8月のBuild 0.7.0でクラフトも入った。接辞の置き換え・数値の振り直し・接辞の追加・エピック装備を1段階上げる、の4アクション。Grimloreは「作りやすくしすぎるとアイテムを追う楽しみが消える」という立場で、素材コストが試行のたびに上がる設計にしている。ここは意見が割れるはずで、PoE2の複雑さから逃げてきた人に、また別の壁を置くことになる。

弱点もはっきりしている。2025年3月のクローズドテストでは参加者の92%が「とても良い体験」と答えた(Steamの好評率とは別の調査)。同じテストの参加者から目立って出た不満が、戦闘のテンポの遅さだった。Grimloreは0.7.0で移動速度を引き上げたが、根っこの「手応え重視で遅い」設計は変えていない。Steamの不評3,405件の一因はここだろう。

マルチプレイも早期アクセス開始時は未実装で「近日」扱いだった。1.0で完成形になるのか、告知は「1.0は計画していたすべてを一枚の織物にまとめ、さらに少し足す」と言うだけで、具体的な章数もマスタリー数も出していない。

THQ Nordic公式の発売日告知トレーラー。ギリシャ神話を下敷きにした舞台と、正式版の発売日が映像で確認できる。

日本語が無い。これが一番の未解決事項

日本の読者にとっての問題は、値段でも競合でもない。9月25日時点でSteamストアの対応言語は英語・ドイツ語・フランス語・簡体字中国語・ロシア語・ウクライナ語の6つで、日本語は無い。4,950円で買えても、ギリシャ神話の固有名詞が飛び交うクエスト文を全部英語で読むことになる。

コンソール版に関しては、国内の発売日も価格も一切出ていない。THQ NordicとGematsuが並べた価格はドルとユーロだけで、日本の販売代理店にも触れていない。1.0で日本語が入るなら、発売まで4か月を切った今の時点で言っておくべき情報で、告知に無いこと自体が答えに近い。

1月19日に『タイタンクエスト2』が問われるのは、無料のPoE2に対して49.99ドルの価値を示せるか、だけではない。日本語の欄を空欄のまま正式版を名乗るのか、その一点も含まれている。

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出典