ゲーム原作の実写映画に長いこと貼られていた「ゲームだから、まあこんなもの」という免罪符が、米国での劇場公開を目前にして紙くずになったの。
要点
- ザック・クレッガー監督の完全新作映画『バイオハザード』が、ロッテン・トマトの批評家スコア97%(批評家レビュー90件・2026年9月17日時点)を記録した。米国の劇場公開は9月18日
- 日本では:2026年10月9日(金)に劇場公開。鑑賞料金・上映形式(字幕/吹替/大型フォーマット)・映倫レーティング・前売券の有無は、いずれも本稿執筆時点で確認できていない
- 原作ゲームの筋をなぞらない別の物語で、シリーズのキャラクターは登場しない(VGC)。ゲーム側の続報ではなく、映画単体として観る作品
- 97%はあくまで批評家だけの数字。観客側の評価は本稿執筆時点でまだ0件で、判明するのは米国公開の9月18日以降
わたしは正直、この手の「歴代最高」という煽りを疑ってかかる側よ。でも今回は数字の出方が違う。97%というのは、ロッテン・トマトの批評家90件のうち、好意的と判定されたレビューの割合。母数が90件まで積み上がったうえでこの数字が崩れていないのだから、レビュー3件で出た瞬間最大風速とは意味が違うわ。

批評家90件で97%。一般公開前に立った数字である点が重い
米国の劇場公開は2026年9月18日。GameSpotによれば先行上映がその前日の9月17日に組まれていて、97%(90件)は、その先行上映と同じ日に一次情報のロッテン・トマトで確認できた数字よ。一般公開の客席が開く前に、批評家側の採点だけが先に積み上がった格好ね。観客側の評価であるPopcornmeterは、この時点で評価0件でスコアなし。
もうひとつの物差しも見ておきましょう。Metacriticのメタスコアは79、こちらは批評家30件が母数で、ユーザースコアはtbd(未集計)の表示。ロッテン・トマトが「好意的か否か」の賛成率であるのに対し、メタスコアは点数の加重平均だから、指標としては別物よ。97%と79を並べて「前者のほうが高い」と言うのは無意味。両方が同じ方向を向いている、と読むのが正しい読み方よ。ただし79は100点満点で79。賛成率がほぼ満場一致に見えるほどには点数そのものが伸びていない、という読み方もできるということは言っておくわ。
ここで一度断っておくわ。この手のスコアは母数が増えるたびに動く。各媒体の記事も執筆時点がばらけていて、GameSpotは96%(71件)、Kotakuは96%、VGCは97%(91件)、Destructoidは98%と書いている。件数の違いはそのまま取得時点の違いよ。本記事は2026年9月17日時点でロッテン・トマトとMetacriticから直接取った97%(90件)と79(30件)を採用している。
媒体側の採点も出ている。GameSpot自身のレビューは10点満点の8点。GamesRadar+のレビューは点数を付けない代わりに、本作を「現時点でゲーム原作映画の最高作の最有力候補」と評した。Destructoidは批評家の採点として、いずれも5点満点でThe Guardianが4点、The Independentが4点、Empireが3点と並べている。Empireの3点が混ざっているあたりが、むしろ健全に見えるわ。
ソニック3の86%を11ポイント上回った。ただしドラマの96%とは同じ土俵に置かない
VGCは、これまでのゲーム原作映画の記録保持者が『ソニック・ザ・ムービー3』の86%で、今作がそれに10ポイント以上の差をつけたと書いている。VGCの記述は実写に限定していないけれど、比較対象の86%そのものは変わらない。一次情報のロッテン・トマトで確認した97%から引き算すると、差はちょうど11ポイント。映画というカテゴリの中では、これは僅差の更新ではなく、突き放した更新よ。

実写という限定を明示しているのはGamesRadar+のほうで、同社のニュース記事は本作を実写のゲーム原作としては史上最高と位置づけたうえで、比較対象に『ラスト・オブ・アス』シーズン1の96%と『Fallout』シーズン2の96%を挙げている。こちらはドラマシリーズで、批評の母数も評価される期間も違う。だから本記事は、97%と96%を一列に並べて順位を付けることはしない。これは出典側の判断ではなく、わたしの判断よ。さらに同じGamesRadar+のニュース記事が別枠として挙げている『Arcane』シーズン2は100%で、これはそもそも実写ですらない。
だから「ゲーム原作の映像化で史上最高」と丸めるのは、雑よ。正確には、実写映画という枠の中で最高。枠を外した瞬間、上にはまだ人がいる。
原作キャラはゼロ、90分。クレッガーが捨てたもの
VGCの報じたところでは、物語は『バイオハザード2』『3』と並行して走る新しい筋で、舞台は現代化され、原作ゲームのキャラクターは出てこない。つまりわたしたちが名前で呼べるあの面々は、誰も出ないということ。シリーズものの映画化としては、普通なら自殺行為の判断ね。
そのうえで上映時間は1時間30分。2時間超が当たり前になった近年の大作を思えば、異様に短い。Kotakuによれば、クレッガーはテスト上映で笑いが多すぎたことを受けて、劇場公開版からジョークを削ったという。足すのではなく削る方向に舵を切った監督が、ゲーム原作でこのスコアを出した。ここは素直に褒めたいところ。
VGCが伝えるところでは、クレッガーは今作がゲームのルールを破るものではなく、設定には従ったうえで別の物語をやっているだけだ、という趣旨を語っている。懐疑的なファンには観てから判断してほしい、とも。実績もある人よ。VGCが並べている過去作のロッテン・トマトは、『Companion』が93%、『Weapons』が93%、『Barbarian』が92%。今回の97%は、この人にとってすら自己ベスト更新ということになる。
埋め込みはソニー・ピクチャーズ エンタテインメント公式チャンネルが出した4Kの本予告。原作キャラを一人も出さずにラクーンシティを描くという今作の方針が映像としてどう成立しているかは、まずここで各自の目で確かめてほしい。
制作はConstantin。GameSpotによれば、同社CEOのオリヴァー・ベルベンは、契約上の義務があったわけではないのにカプコンへ相談しながら進めたと述べている。権利元に口を出させない自由を持っていたのに、わざわざ持ち込んだということ。カプコンのIPの扱いについては、『鬼武者』新作の初動について書いた記事でも触れている。
日本公開は10月9日。まだ答えが出ていないのは観客側の数字
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(日本)の発表では、邦題は『バイオハザード』、日本公開は2026年10月9日(金)。米国の9月18日から数えて21日、ちょうど3週間の時差になる。なおVGCは米国公開日を9月17日と書いているけれど、本記事はロッテン・トマトとMetacriticが揃って示している9月18日を採った。2026年9月17日は木曜で、金曜は18日のほうよ。
この3週間は、正直きつい。97%という数字が世界中に出回った直後の3週間よ。SNSのタイムラインは容赦しないし、批評家の評が高い作品ほど「あの場面」の話をしたがる人が湧く。日本のファンは、10月9日まで自衛しながら過ごすことになるわね。
ソニー・ピクチャーズ日本の公式あらすじでは、主人公はデリバリードライバーのブライアンで、ある一夜に地獄のような状況へ放り込まれる。GameSpotとKotakuは医療搬送のドライバー、Destructoidは臓器搬送のドライバーと書いていて、日本版の表記とは少しずれているわ。演じるのはオースティン・エイブラムス。Kotakuの伝えるレビューの論調は、特定のゲームの筋をなぞるのではなくクラシックな『バイオハザード』を遊んでいる感覚を映画化した、というもの。特定の筋をなぞらないということは、裏を返せばシリーズのファンにとって物足りなさの理由にもなり得る。ここから先はわたしの見立てだけれど、クレッガーがゲームの設定には従ったと言っていても、それは「ゲームの名場面が観られる」という意味ではないのよ。
そして肝心の部分は、まだ誰も答えを持っていない。Popcornmeterは0件、Metacriticのユーザースコアもtbd、興行成績の数字も本稿執筆時点では一本も出ていない。批評家に絶賛されたゲーム原作が客席でも支持されるかは9月18日以降の数字を見るまで分からないし、日本の観客が10月9日にどう反応するかはさらにその先。97%は、あくまで試合開始のホイッスルが鳴る前の評価よ。
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出典
- Rotten Tomatoes – Resident Evil (2026)
- Metacritic – Resident Evil (2026)
- ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント – 映画『バイオハザード』2026年10月9日日本公開決定
- VGC – Zach Cregger’s Resident Evil film becomes the highest rated video game movie in Rotten Tomatoes history
- GamesRadar+ – Zach Cregger’s Resident Evil debuts to 97% on Rotten Tomatoes
- GamesRadar+ – Resident Evil movie review
- GameSpot – Resident Evil Is Now The Highest-Rated Gaming Movie Ever
- Kotaku – Early Reviews Hail Zach Cregger’s Resident Evil As A Clever Homage
- Destructoid – Resident Evil director Zach Cregger is now accepting your apologies