2日連続のNintendo Directで、任天堂が最後の最後まで取っておいた1本がカービィだった。しかも発売日も価格も付けずに、「2027年春」という一言だけで幕を閉じた。
要点
- 9月9日のNintendo Directの締めで、シリーズ最新作『星のカービィ ワールドビヨンド』が発表された。コピー能力で3Dフィールドを自由に駆け巡る完全新作。
- 日本では:発売時期は2027年春、対応機種はNintendo Switch 2。国内の発売日と価格は未発表。
- 『ディスカバリー』以来5年ぶりの完全新作3Dカービィ。海外媒体は「オープンワールド」と報じたが、任天堂の公式文は「3Dのフィールドを自由に駆け巡る」止まりで、ステージ制の有無は未確認。
正直に言うと、わたしはこのDirectの最後にゼルダかマリオの隠し玉が来ると思っていた。前日のゼルダ40周年Directで『時のオカリナ』を11月5日に置いた流れなら、2日目の締めは年末商戦の大砲であるべきでしょう。ところが出てきたのは、早くても半年先のピンク玉。任天堂はこの1本を、モンスターハンターワイルズ(12月4日)ともメトロイド ラヴェナス(2027年1月28日)とも違う場所、つまり「Directの記憶に残る最後の映像」に置きたかったということね。
任天堂公式チャンネルの発表映像。野原を走り、木に剣を刺して登り、最後に空を壁のように切り裂いて「向こう側」の世界が現れる。
「オープンワールド」と言ったのは任天堂ではない
SiliconeraとGamesRadar+は見出しに「open world」を掲げ、Insider GamingとKotakuも本文で3Dオープンワールドという言葉を使った。ただしよく読むと、Siliconeraは「シリーズで初めてオープンワールドになる作品のようだ」、GamesRadar+は「初のオープンワールドのカービィに見える」と、少なくともこの2媒体は「ようだ」「見える」を外していない。
ところが任天堂自身の言葉を読み返すと、確認できた公式文にその単語は無い。Directのテキスト版に書かれているのは「コピー能力を使って3Dのフィールドを自由に駆け巡る」で、英国の公式製品ページも「Copy Abilitiesを使ってWorld Beyondを自由に探索」までしか言っていない。この差は小さくないわ。『ディスカバリー』も広いエリアを歩く3Dだったけれど、マップからステージを選んで進む作りだった。今回がステージの区切りを本当に捨てたのか、それとも広めのステージを「自由に」と言い換えただけなのかは、映像からは判断できない(国内の製品ページはこの記事を書いている時点で見つからず、当たれた公式文はこの2つ)。
映像で確かに見えたものを並べる。空に穴を開けて世界の外側へ出る演出、剣を木に刺して登る動き、野原を高速で駆ける動き、回転する足場での滑空。Nintendo LifeとKotakuはこれを『トゥルーマン・ショー』に例えていて、カービィの住む世界そのものが作り物で、その外に本物の世界がある、という読みをしている。読みとしては筋がいい。ただしGematsuの記事では、物語は「謎の少女とデデデ大王が絡む」「行く手を阻む奇妙な壁」までで、正体は伏せたまま。
2022年、2025年、2027年。3Dカービィは5年で3手目

『ディスカバリー』が出たのは2022年3月25日。1992年4月27日にゲームボーイで始まったシリーズが、30周年の年にして、ようやく本格的な3Dに踏み込んだ作品だった。当時の希望小売価格はパッケージ6,578円。その後2025年8月28日に『ディスカバリー Nintendo Switch 2 Edition + スターリーワールド』がパッケージ8,578円(ダウンロード版8,500円)、アップグレードパス2,000円で出て、そして2027年春に完全新作。5年で3手、しかも1手目と3手目の間に「同じゲームを新ハードで売り直す」を挟んでいる。
これを遅いと言うか慎重と言うかは立場次第ね。VGCが以前伝えた記事によれば、任天堂とHAL研究所は本流の3Dカービィを作るのに約20年苦労していた。『ディスカバリー』でやっと答えを出し、それをSwitch 2で再確認してから、次に踏み出す。手堅すぎて面白みは無いけれど、あの丸い体で3D空間を気持ちよく動かす難しさを考えれば、HALが1本ずつ確かめながら進む理由は分かる。
褒めるべき点をはっきり書いておく。剣を木に刺して登る、ボムで自分を打ち上げる、といった公式説明にある動きは、コピー能力を「敵を倒す道具」から「地形を攻略する道具」に作り替えるということ。『ディスカバリー』のほおばりヘンケイが「ものを飲み込んで形になる」一発芸だったのに対して、今回は能力ごとに移動の答えが変わる設計に見える。これが本当に全能力で成立しているなら、3Dアクションとしての骨格が1段上がる。
発売日も価格も無いまま、予約開始の話だけが先に出た

確定していることは図の通りで、要するに機種と時期しかない。英国の公式ページには年齢区分がPEGI 7の暫定、プレイ人数はTBDと書かれていて、2人プレイがあるのかすら決まっていない。それでもGamesRadar+は、Nintendo Storeで予約が始まっていると伝えている(どの地域のストアかは記事に明記が無い)。国内の予約は、この記事を書いている時点では確認できていない。
価格の目安として使えるのは、あくまで移植+追加コンテンツの値段だけれど、Switch 2版『ディスカバリー』のパッケージ8,578円くらい。Switch版が6,578円だったところから2,000円上がった経緯を考えると、完全新作がそれを下回るとは考えにくい。Directでは本作を来年2027年の35周年に絡めて紹介し、記念グッズも予定していると述べた。もう1つ辛口を言うなら、35周年を冠しながら「グッズなども予定」以上の具体を出さなかったところ。誕生日は2027年4月27日で、発売時期の「春」とちょうど重なる。ここに何かを合わせる気なら、今日の映像で日付くらいは切れたはずでしょう。
2日連続Directの「最後の1本」に見合う情報量だったか
Directには、モンスターハンターワイルズのSwitch 2版(12月4日)、メトロイド ラヴェナス(1月28日)、ピクミン4(11月12日)とゼノブレイド3(12月3日)のSwitch 2 Edition、当日配信のマリオカート ワールド無料更新と、日付の付いた発表が並んでいた。その全部を差し置いて最後に来たのが、日付の無いカービィ。任天堂は明らかに「映像の驚き」で締めることを選んだ。
それは成功していた。空を切り裂く1カットは、今回のDirectで一番SNSに貼られる映像になるはず。ただし驚きの中身を検証しようとすると、任天堂の公式文は数文で終わり、Gematsuが掲載した22枚のスクリーンショットも映像の切り抜きの域を出ない。「オープンワールド」という言葉を海外媒体が言い、任天堂は言わない。この距離が縮まる日、つまり任天堂が自分の口でステージの有無と価格を言う日が、35周年の春までにあるのかどうか。そこがまだ埋まっていない。
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出典
- 任天堂 — Nintendo Direct 2026.9.9 テキスト版
- Nintendo UK — Kirby and the World Beyond 製品ページ
- 任天堂 — ゼルダの伝説40周年 Direct 2026.9.8 テキスト版
- 任天堂 — 星のカービィ ディスカバリー 公式ページ
- 星のカービィポータル — シリーズヒストリー
- 任天堂 — 星のカービィ ディスカバリー Nintendo Switch 2 Edition + スターリーワールド 商品情報
- Gematsu — Kirby and the World Beyond announced for Switch 2
- Siliconera — Kirby and the World Beyond Goes Open World
- GamesRadar+ — Kirby and the World Beyond looks like the first open-world Kirby game
- VGC — Kirby and the World Beyond is an all-new Kirby 3D adventure
- VGC — Nintendo and HAL struggled to make a mainline 3D Kirby game for around 20 years
- Insider Gaming — Kirby and the World Beyond Announced at Nintendo Direct
- Kotaku — Nintendo September Direct: Kirby, Metroid, And Everything Else We Saw
- Nintendo Life — ‘Kirby And The World Beyond’ Goes Big On Switch 2 Next Spring