続編に全部持っていかれる、と誰もが思っていた。GGGはその予想に、深海を投げ返してきた。
Grinding Gear Gamesが現地時間7月24日、『Path of Exile』の新リーグ「Curse of the Allflame(カース・オブ・ジ・オールフレイム)」を実装した。深海探索という新ギミック、傭兵システムの本編復権、そしてエンドゲームの大規模リワーク。本家PoE1に、まだこれだけの弾が用意されていた。
Path of Exile公式チャンネルのリーグトレーラー。海の底の空気感は、映像で見たほうが早い。
灯りが消える前に、どこまで欲を出せるか

リーグのテーマは深海探索だ。船長ヴァレリーと、彼女に呪われて魂だけの存在になったヴェスパーという2人のNPCと組んで、ラエクラストの海底に沈んだ財宝を回収していく。
フィールドで拾える「チャート(海図)」をヴァレリーに渡すとバチスフィアで潜航でき、「Allflame Lantern(オールフレイムの灯)」で視界と安全圏を確保しながら「Dead Man’s Sulphur」を回収する。
肝は灯りが弱まるほど、周囲のモンスターが凶暴になっていく設計だ。集めた分を抱えて撤退するか、もう一歩踏み込むか。この「引き際を自分で決めさせる」構造がとにかく良い。
ハクスラの周回は、放っておくとどうしても作業になる。そこに毎回「今日はどこまで欲張るか」という小さな決断を挟み込んでくるのは、設計として実に賢い。しかも判断材料が数値ではなくランタンの明るさという目に見えるものなのがうまい。計算しなくても、体感で分かる。
チャートを9枚以上消化するとより長大な「ボイジ(航海)」が解放され、複数の海図を盤面に並べて隣接ボーナスを組み合わせる、軽いパズル要素も加わる。
マーセナリー本編復帰。イベント限定を、恒常に格上げした

個人的にいちばん驚いたのはここだ。過去のイベントリーグで好評だった「マーセナリー」システムが、コア機能として本編に統合された。
Act3以降、マップの各所で傭兵と一騎打ちができて、勝てば数エリアのあいだ仲間として同行してくれる。さらにScion系統の新アセンダンシー「Luminary(ルミナリー)」が実装され、傭兵を正式に雇用して装備を与え、育成できるようになった。
ソロプレイが基本のPoEに、恒常的な仲間という概念が入ってくる。かなり大きな変化ね。
そしてソケットまわり。どの色の宝石も任意のソケットに装着できるようになった(色を一致させるとボーナスが得られる仕組みは残る)。長年プレイヤーを苦しめてきた「色出し」の運ゲーが、ついに緩和された。
これは正直、10年遅い。ただ10年遅くても直したことのほうを評価したい。成立してしまった伝統を自分の手で壊すのは、新機能を足すより何倍も難しい。「PoEといえば色出しで泣くゲーム」というアイデンティティを、GGGは自分から手放したことになる。
エンドゲームも一斉にテコ入れ
- アビス:深淵の探索ルートと報酬構成を見直し、積極的に潜る価値のあるコンテンツへ再設計
- レギオン:「Enshrouding Crystal」を追加し、凍結軍勢の解放演出とリワードにテコ入れ
- タリスマン:宝石の供給源として再定義され、ビルド構築との連携を強化
- 呪文職:レベル100超の高難度帯における火力と生存のバランスを再調整
並べてみると分かるけれど、これらは新要素というより「息切れする」「うまみが薄い」と言われ続けてきた既存システムへの返答だ。新規の目玉だけでなく、古参のモチベーションを保つ側にもちゃんと手が入っている。
編集部の見解:これは開発リソースの配分そのものが答えになっている
ここからは考察だ。
『Path of Exile 2』がアーリーアクセスで注目を集め続けているいま、「本家PoE1は開発リソースを縮小されるのでは」と身構えていたファンは少なくなかった。実際、直近の大型リーグは前回の「3.28 Mirage」からやや間隔が空いていた。
その状況で出てきたのが、マーセナリーのコア実装とソケット仕様の刷新という、ゲームの根幹をいじる変更だった。ここが決定的だと思う。
リソースを絞るつもりの製品に、根幹の改修は入れない。工数が読めないし、既存プレイヤーを壊すリスクがあるからだ。新マップや新ボスを足して回すほうが、はるかに安全で安上がりに済む。それをやらなかったこと自体が、GGGの回答になっている。
マーセナリー復権も象徴的ね。イベント限定で好評だった要素を恒常化するのは、フィードバックをちゃんと拾い上げている証拠だ。単発の目玉で終わらせず、システムの土台を底上げする方向に舵を切ったのは、長期運営タイトルとしてかなり誠実な振る舞いだと思う。
同じ時期、Diabloシリーズもシーズン運用と地道な調整のフェーズに入っている。派手な新要素を毎回投下する方向と、土台を磨き直す方向。同じハクスラでも運営スタンスがきれいに分かれているのは、見ていて面白い。
11月のExileConに向けて、まだ手札はありそうだ
GGGは今年11月に3回目となる「ExileCon 2026」を予定していて、チケット販売も複数波にわたって行われている。大型イベントの前には話題性のあるアップデートが集中しやすく、今回のCurse of the Allflameもその流れの一環と読める。
PoE2は12月11日に基本無料で正式版に入る。11月のExileConは、その直前にあたる。
深海探索というテーマ自体、ハクスラでは珍しい切り口だ。既存プレイヤーはもちろん、離れていた人が戻る口実としても悪くない。