バグを直してもらうために、開発会社がパソコンを段ボールに詰めて送った。冗談みたいな話だけど、実話だ。
Grinding Gear Games(GGG)が現地時間7月30日、『Path of Exile 2』を長く苦しめてきた「シェーダー読み込みの引っかかり」と、悪名高い「Device Removed」クラッシュの修正を正式に発表した。アーリーアクセス開始からずっと居座っていた不具合が、ようやく片付いたことになる。
Path of Exile公式チャンネルの正式版トレーラー。この状態に持っていくまでに、裏では地味な戦いが続いていた。
マップの奥で落ちる。ハクスラで一番やってはいけない落ち方
症状は2種類あった。
ひとつは「Device Removed」エラー。マップ探索中に画面が一瞬止まり、ローディングを挟んで強制的に再読み込みされる。エンドゲームのマップ攻略中に発生しやすいのが最悪で、フレームレートの急落やテクスチャの欠落を伴うこともあった。
もうひとつが、新エリアに入るたびに走るシェーダーコンパイルによるスタッター。
どちらもNVIDIA製グラフィックスカードのユーザーに集中していて、原因はローンチ直前に出たドライバの560系以降。GGG公式フォーラムでは早期アクセス開始直後から報告が途切れず、Redditのr/pathofexile2でも定期的にスレッドが立つ定番の悩みになっていた。「高難度マップに潜るたびにクラッシュに怯える」という声まで出ていたほどだ。
ハクスラで一番やってはいけない落ち方をしていた、ということね。
「そんなに起きてないでしょ」と言われ続けた1年

今回いちばん読み応えがあるのは、修正の中身じゃなくてそこに至る過程だ。
ゲームディレクターのJonathan Rogers氏によると、GGGがNVIDIAに問題を伝えても、当初はまともに取り合ってもらえなかったという。「NVIDIAに納得してもらうのは簡単じゃなかった。彼らは、こちらが主張するほど不具合が一般的なものだとは信じていなかった」——これはなかなか強烈な証言ね。
そこでGGGは、5〜7分おきに確実に不具合を再現できる手順を独自に作り上げた。それでも状況は動かなかった。
最終手段が、PCの物理配送だ。モニターもマウスもキーボードも込みで、動く現物をまるごとNVIDIAに送りつけた。約1か月後、ようやくNVIDIAのエンジニアが実機で不具合を確認し、専任のドライバエンジニアが割り当てられた。
そこから調査が進み、根本原因は「シェーダーヒープサイズ」という内部設定値の不足だと判明した。
修正を反映させるために、こちらがやること

直ったからといって、放っておいて反映されるわけではない。
NVIDIAのGame Readyドライバを610.88以降に更新し、あわせてPath of Exile 2も最新パッチに更新する。片方だけでは効果が出ない可能性があるので、ここは両方やること。
初回起動時にはシェーダーキャッシュの再構築が走るので、最初の数回はロードが長くなる。ここで「直ってないじゃないか」と早合点する人が絶対に出るけれど、数回遊んでから判断してほしい。GGGによれば、再構築が終わったあとは「これまでよりも大幅に改善する」とのことだ。
なお今回の修正はNVIDIAユーザー向けで、同様の不具合を訴えているAMDユーザーには、この時点で公式な解決策が出ていない。
編集部の見解:ここまでやった開発を、まず褒めるべきだ
この件、笑い話として消費されがちだけど、GGGの仕事ぶりは相当立派だと思っている。
普通、原因が自社の外にある不具合というのは、開発にとって一番逃げやすい案件だ。「ドライバ側の問題です」と一行アナウンスを出せば、少なくとも責任は果たしたことになる。実際、そう処理して数年放置されている不具合はいくらでもある。
GGGはそれをやらなかった。自分たちのバグではないと分かったうえで、再現手順を作り、それでも相手が動かないと見るや、モニターごと箱に詰めて海の向こうに送った。プレイヤーから見えるのは「マップで落ちるかどうか」だけで、誰のせいかなんて関係ない——その一点を、ちゃんと分かっている振る舞いだ。
正直に言えば、ローンチから半年以上この規模の不具合が残っていたこと自体は擁護しづらい。ただ、放置されていたのは怠慢の結果ではなく、動かせない相手を動かすのに時間がかかったから、という構図が今回はっきりした。責める先が変わる情報だ。
そしてNVIDIAのほうにも、少しだけ弁護の余地はある。世界中のゲームから毎日届く不具合報告のうち、本当にドライバ側の問題なのはごく一部だ。全部に専任エンジニアを付けるのは物理的に無理で、優先度をつける必要がある。それが分かったうえで書くけれど、「動く現物が届いて初めて信じる」という判断基準は、さすがに雑すぎる。再現手順まで用意されているなら、そこが出発点であるべきだった。
これはPoE2だけの話じゃない
大量のモンスターとエフェクトとパーティクルが同時に画面を埋めるハクスラというジャンルは、そもそも通常のベンチマークタイトルでは見えてこない負荷のかけ方をする。『Diablo 4』も過去の大型パッチで似た報告が相次いだことがある。
つまりこれは、GGG対NVIDIAの喧嘩の記録ではなく、「作った側とハードを売る側の間に、誰も責任を持たない隙間がある」という業界の構造そのものの記録ね。編集部としては、そういう事例として残しておきたい。
足かせが外れたのは、いいタイミングだった
PoE2は新リーグと新アセンダンシーを含む大型アップデートを実装したばかりで、これから遊び込む人が増える局面にある。長時間の周回や高難度コンテンツに挑むほどクラッシュのリスクに晒されていただけに、この修正はエンドゲーム体験の底上げに直結する。
さらに12月11日には基本無料で正式版に入る。無料になれば、新規プレイヤーが一気に流れ込む。その前に「マップで落ちるゲーム」という評判を消しておけたのは、単なるバグ修正以上の意味がある。
残る宿題はAMDユーザーだ。今回の協業モデル(再現手順を作る→現物を送る→原因を特定する)がそのまま踏襲されるのか、別の道を通るのか。ここは引き続き見ておきたい。
参照元
- PCGamesN – A new Path of Exile 2 patch finally fixes the frustrating freezes that have plagued players since day one
- Wccftech – NVIDIA Required An Entire PC Shipped To Fix Critical Path of Exile 2 Bug
- Massively Overpowered – Path of Exile 2 declares victory over long-standing shader issues thanks to a new Nvidia patch