ベータでキャンペーンを遊ばせる。シリーズ史上初らしい。
『Call of Duty: Modern Warfare 4』のベータ情報が解禁された。マップ7種、モード多数、武器約19種——物量だけでも十分に太っ腹なんだけど、いちばん引っかかったのはそこじゃない。キャンペーンのミッションが1本、ベータで遊べる。CoDのベータでこれをやったことは、これまで一度もない。
先に言っておくと、これは単純にすごい。売り物の一部を発売前にタダで配るというのは、口で言うほど簡単な決断じゃない。出来が悪ければ発売前に評判が固まるし、ネタバレも出る。それでもやると決めた判断は、素直に評価したい。
2段階構成、Switch 2はオープンベータから

8月21日から25日までが「早期アクセス期間」。PS5、Xbox Series X|S、PC(Battle.net / Steam / Xbox版)で遊べて、参加には予約購入が要る。デジタル予約なら自動で権利が付くし、小売店で入手したコードを callofduty.com で登録する手もある。
8月28日から9月1日までが、予約不要の「オープンベータ」。ここでNintendo Switch 2版が合流して全プラットフォームが揃う。本編の発売は10月23日。
キャンペーンミッション「Entrenched」を先に遊ばせる
目玉のミッション「Entrenched(エントレンチド)」は、ベータの両週末を通してプレイできる。北朝鮮による侵攻を受けた韓国海兵隊の視点で戦う内容で、塹壕戦と車両戦を混ぜたスクリプト演出たっぷりの、いかにもCoDらしい作りになっているらしい。
これまでCoDのベータは「マルチのお試し」でしかなかった。キャンペーンの中身を事前に触らせたことはない。売り物の一部を先に配るわけだから、当然リスクもある。ネタバレも出るし、出来が悪ければ発売前に評判が固まる。
それでもやった、という事実のほうが情報だ。
マルチとWarzoneの物量も、体験版の域を超えている

公式チャンネルのマルチプレイヤートレーラー。ベータで触れるマップとモードの雰囲気は、だいたいここで掴める。
早期アクセス期間のマップは「Rooftops」「Silkworm」「Transit 213」「Cachette」「Lotus」「Kill Block」の6種。オープンベータでは「Lotus」が抜けて新マップ「Lithium」が入る。
モードはチームデスマッチ、ドミネーション、ハードポイント、サーチ&デストロイに、3対3の「Gunfight」バリアント。加えてWarzoneのリザージェンスマップ「Zodiac」、グラウンドウォー向けの「Combat Outpost」と「Imjin Farmland & Wolves Stadium」、武器約19種、オペレーターと戦術装備とキルストリーク一式。
Vault Edition を予約した人には専用オペレーターと武器の刻印スキンも付く。ここまで来ると体験版というより先行プレイ会ね。
この物量、正直に言って気前が良すぎる。マップ7種に武器19種、モードは5系統。無料で触れる範囲としては近年のシューターで頭ひとつ抜けている。しかも早期アクセスとオープンベータでマップを入れ替えてくるのがうまい。同じ週末を2回やらせるんじゃなくて、2週目にも来る理由をちゃんと用意している。細かいけど、こういうところに作り手の丁寧さが出る。
編集部の見解:立派な賭けだ。ただし、賭けざるを得なかった理由もある
なぜこんなに出すのか。答えは開発元を見れば見当がつく。
本作を手がけるのはInfinity Ward。このスタジオがナンバリングの開発を主導するのは4年ぶりだ。そして近年のシリーズは、マップ設計やガンプレイの手触りをめぐって毎年のように揉めてきた。前作『ブラックオプス7』も例外じゃない。
つまり今のCoDは、「発売してから文句を言われる」のが恒例行事になっている。トレーラーを何本流したところで、疑っている人の目は変わらない。
だったら遊ばせたほうが早い。言葉で説得するのを諦めて、現物を先に置いた——今回のベータはそういう構えに見える。マズルフラッシュやヒップファイアといった細かい手触りの調整が進んでいるという情報も出ていて、派手な新要素より基礎の底上げに寄っているのも同じ方向だ。
これを「自信の表れ」と読むのは正しいと思う。実際、遊ばせて評価が上がると踏んでいなければ絶対にやらない賭けだ。作ったものに自信がある会社の振る舞いとしては、これ以上ないくらい分かりやすい。
ただ同時に、過去数年で溜まった不信の請求書でもあると思っている。ここまでしないと信じてもらえないところまで来てしまった、という事実は残る。
誤解のないように書いておくと、これは責めているんじゃない。信頼を失った側が、言葉じゃなく現物で取り返しにきている——その姿勢自体は、業界でもっと真似されていい。トレーラーで期待だけ煽って発売日に裏切るのが常態化している中で、先に遊ばせるという選択は誠実だ。
Switch 2でフル規格のCoDが動くという事件
地味だけど大きいのがSwitch 2版だ。
オープンベータからPS5・Xbox・PCと並んで遊べる。これまで携帯機系のハードとフル規格のCoDは縁が薄かったから、発売初週から同じ土俵に乗るのは普通に事件ね。
そして何より、ベータの時点で同時に遊べるのがすごい。移植を後追いで出すのではなく、最初から同じ列に並べてきた。技術的にも調整的にも相当な手間がかかっているはずで、ここは素直に拍手していい。
Switch 2のラインナップを厚くしたい任天堂と、プレイヤー母数を1人でも増やしたいActivision。両者の利害が珍しくきれいに一致した形と言える。同じ流れは『エルデンリング』の完全版でも起きているし、『Diablo 4』も名前が挙がっている。
『モダン・ウォーフェア』というブランドの重さ
ついでに整理しておくと、『モダン・ウォーフェア』は2007年の作品から続くサブブランドで、2019年に一度リブートされている。今回のナンバリング4作目は、リブート版の系譜としては3作目にあたる。
過去作はキャンペーンの演出が高く評価される一方、マルチのマップ設計に不満が出る年もあった。得意な部分と苦手な部分がはっきりしているシリーズ、ということね。
今回いちばん自信のあるキャンペーンを先に見せてきたのは、そういう意味では実に正直な手だ。
10月23日という日付が、いちばん雄弁かもしれない
最後に発売日の話をしたい。
『モダン・ウォーフェア4』は10月23日発売。その約1か月後、11月19日に『GTA6』が来る。
この距離感は偶然じゃないと思う。GTA6が出た後の秋冬に大型シューターを置くのは、可処分時間の奪い合いとして分が悪すぎる。1か月前に出して、コミュニティの熱を先に確保しておく。ベータをここまで盛ったのも、その助走の一部と考えると筋が通る。
問題は、CoDが逃げ切りたい相手が13年ぶりの新作だということ。1か月のリードで足りるのかどうかは、11月19日以降に分かる。