『エルデンリング』完全版がSwitch2に8月28日降臨、新クラスと最新PV公開

まったく同じデータが、片方ではタダで、片方では4.99ドル。何のギャグかと思った。

『ELDEN RING(エルデンリング)』のNintendo Switch 2版「タルニッシュド・エディション」が、2026年8月28日に発売された。本編に拡張DLC「Shadow of the Erdtree」を丸ごと収録したオールインワン仕様で、新しいスタートクラスと新防具まで入っている。で、その新クラスと新防具は、PS5やPCで既に本編を買っている人には別売りになる。この線引きが、発売前からずっと燃えていた。

79.99ドル、必要容量75GB、中身は空のカード

ELDEN RING タルニッシュド・エディションの商品情報。発売日2026年8月28日、価格79.99ドル、必要容量約75GB、パッケージはGame Key Card方式、本編とShadow of the Erdtreeを完全収録、新スタートクラス2種を追加
商品情報の整理。Loot Times作成

まず現実的な話から。パッケージ版は79.99ドル。ただし箱を開けて出てくるゲームカードに、ゲームは入っていない。購入後にダウンロードする「Game Key Card」方式で、必要容量は約75GBだ。

つまり店頭で物理的な箱を買っても、家に帰って回線とストレージがなければ狭間の地に行けない。「携帯機でどこでも遊べる」を売りにしたハードで、遊び始めるまでがいちばん遠い。

日本での正式な価格と発売形態は、この時点では続報待ちだった。

新クラスは「ヘビーナイト」と「イーダスナイト」

追加要素の中身は素直に良い。

新スタートクラスが2つ。湾曲した大剣を振り回す重量級の「ヘビーナイト」と、片手剣「マイレディ」を持つ「イーダスナイト」。ヘビーナイトは力ビルド寄りのステータス配分が早い段階で公開されていて、コミュニティは発表直後から「これ強いやつだ」と騒いでいた。

8月11日公開の「ストーリー・スポットライト」。崩れ落ちた狭間の地を約1分でまとめた導入映像で、35秒あたりからShadow of the Erdtreeの筋にも触れている。初見の人向けの作りだけど、Switch 2上での実動作も入っているので、そっち目的で見る人のほうが多そうね。

ダークソウル2の防具を持ってくるあたりが商売上手

タルニッシュド・エディションで追加される新要素。新スタートクラスはヘビーナイトとイーダスナイトの2種、ダークソウル2のルカティエル・オブ・ミラーの防具セット、騎乗獣トーレント用の新スキン、他機種向けはタルニッシュド・パックとして4.99ドル
追加される新要素。Loot Times作成

防具の目玉は、『ダークソウル2』のルカティエル・オブ・ミラーの装備一式。トーレント用のスキンも複数入る。

ここ、よくできている。新規プレイヤー向けの完全版という建前なのに、いちばん反応するのは十年選手のほうだ。ルカティエルの名前を出された瞬間に財布を開く人間が何人いるか、向こうは正確に把握している。

で、その追加要素が他機種では4.99ドル

本題。

バンダイナムコは、この新クラス・新防具パックをSwitch 2版には標準で同梱する一方、PS4/PS5、Xbox One/Xbox Series X|S、PC(Steam)の既存プレイヤーには「タルニッシュド・パック」という4.99ドルの有料DLCとして8月28日に売り出した。

誰か 新クラス・新防具
Switch 2版(79.99ドル)を新しく買う人 タダで付いてくる
4年前から本編を買って遊んでいる人 4.99ドル払う

海外の反応は当然割れた。「無料の大型アップデートだと思っていた」という戸惑いと、「新規向けの完全版と既存向けの追加DLCは別物だから妥当」という擁護。どちらの言い分も分かる。

編集部の見解:この値札、守っているのはコンテンツじゃない

正直に言うと、4.99ドルという額そのものはどうでもいい。ガチャ1回分にも届かない。腹が立つのは金額じゃなくて、この値札が何のために存在しているのかのほうだ。

考えてみてほしい。4.99ドル×既存プレイヤーで新クラス2つと防具セットの開発費が回るなら、世界中のゲーム会社はもっと楽をしている。これは儲けるための値付けじゃない。

じゃあ何なのか。Switch 2版を79.99ドルで売るための値札だ。

「新クラスが入っています」という売り文句は、同じものを他機種で無料配布した瞬間に死ぬ。だから値段を付けるしかない。かといって高くはできない、既存プレイヤーが本気で怒るから。安すぎても理由が透けて見える。そうやって上下から挟まれた結果、誰ひとり幸せにならない4.99ドルが残った。

守られたのはコンテンツの価値じゃなくて、79.99ドルという値札のほうね。合理的ではある。ただ、合理的なだけの判断がユーザーに愛されたためしはない。

『エルデンリング』は400以上のGame of the Yearノミネートを獲得して、全世界で3000万本以上売れている。ここまで来ると、追加コンテンツの値付けひとつで「太っ腹」にも「せこい」にも転ぶ。5ドルでブランドの体温を下げるのは、割に合わない取引だと思う。

75GBを携帯機に入れろという要求

もうひとつ、笑えない話をしておく。

75GBは携帯機のストレージにとって冗談みたいな容量だ。しかもパッケージを買ってもダウンロードは避けられない。「カードを挿せばすぐ遊べる」という携帯機の一番の美点を、大作を載せた瞬間に自分から捨てている。

ちなみにこの移植、最初のデモが酷評されて1年延期している。そのぶん中身を詰めてきたのは間違いない。

そしてこれは『エルデンリング』だけの話じゃない。『Diablo 4』のSwitch 2版とされる件も、パッケージは「コードインボックス」形式になるとされている。理由は同じく容量。『FF7 リベレーション』もSwitch 2を含む4機種同時発売だ。

大作が集まるのは結構なことだけど、集まるほど「箱の中身が鍵だけ」という状況が標準になっていく。物理版を棚に並べる意味は、そのぶん薄くなる。

次に見るべきは、この売り方が繰り返されるかどうか

この一件で本当に気になっているのは、エルデンリング1本の話じゃない。

「新ハード版には同梱、既存機種には少額で別売り」という型が今回うまくいったと判断されれば、次の大作移植でも同じことが起きる。5ドルなら訴える人はいないし、炎上しても一週間で沈む。企業から見れば、これ以上ないくらい安全な実験だ。

逆に既存プレイヤーが本気で財布を閉じれば、次は無料同梱になる。今回の4.99ドルは、そこを測るための温度計でもあるわけね。

だから確かめたいのは、半年後に同じ売り方をしているパブリッシャーが何社あるか。それが今回の答え合わせになる。

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