エルデンリングSwitch2版、酷評から一転好印象に 8/28発売

1年前、この移植は「出すな」と言われていた。

『ELDEN RING(エルデンリング)』のNintendo Switch 2版「Tarnished Edition(ターニッシュド・エディション)」が、2026年8月28日に発売された。フロムソフトウェアとバンダイナムコが手がけるこの移植版は、発売までの道のりが相当に荒れている。1年前は「動くのか」を疑われ、発売直前には「差が感じられない」と評されるところまで来た。その落差が今回いちばん面白い部分だと思っている。

発端は2025年Gamescomの、かなり悲惨なデモ

話は2025年のGamescomまでさかのぼる。当時披露されたSwitch 2版のデモは、開けたフィールドでフレームレートが20fpsを大きく割り込み、戦闘中には目に見えるスタッタリングも発生していた。

さらに厳しかったのは、グラフィック設定のメニューが存在せず、他の重量級移植タイトルが採用しているようなアップスケーリング技術の気配もなかったと報じられたことだ。「調整の余地がまだ残っている」ではなく「そもそも手が入っていないのでは」と読める状態で、当時のプレビュー記事はほぼ全てが否定的な評価に傾いていた。

延期の理由は「パフォーマンス調整の時間」だった

この結果を受けて、バンダイナムコは2025年内を予定していた発売を2026年へ延期する。理由として示されたのは「パフォーマンス調整のための時間を確保する」というものだった。

エルデンリング Switch 2版の経緯。2025年Gamescomのデモで20fps割れと酷評、2025年内予定から2026年へ延期、2026年8月11日に新トレーラー公開、8月18日のハンズオンプレビューで高評価、8月28日発売
酷評から発売までの1年。Loot Times作成

最初にこのニュースを見たとき、「また延期か」と身構えた人は多かったはずだ。『エルデンリング』を携帯機としても遊べるハードに載せるのは無茶だ、というのは業界内でも繰り返し言われてきたことで、「無理な移植の代表例」として名指しされる立場にまでなっていた。

1年後、「携帯機モードでも差が感じられない」という評価に

そこから約1年。8月18日付で公開された最新のハンズオンプレビューでは、「スタッタリングやカクつきは一切感じられなかった」という評価が出た。携帯機モードでも「据え置きモードとの見た目・パフォーマンスの差がほとんど感じられない」との報告が上がっている。

その前段として、8月11日にはSwitch 2版の世界観を紹介する新トレーラー「Story Spotlight」がバンダイナムコの公式チャンネルから公開されている。狭間の地が崩壊するに至った経緯と、褪せ人が旅立つまでの導入を約1分でまとめた内容で、中盤では拡張コンテンツ「Shadow of the Erdtree」のストーリーラインにも触れている。実際のSwitch 2上での動作シーンも収録されていた。

ただし、数値は公表されていない

ここは冷静に見ておきたい。

今回の好評はオフスクリーン映像をもとにした評価で、正確なフレームレートや解像度の数値は公表されていない。「カクつきを感じなかった」は体感の話であって、計測値ではない。去年の惨状を知っているファンからすれば驚きの変化ではあるけれど、数字が出るまでは「良くなったらしい」以上のことは言えないと思っている。

収録内容は79.99ドルぶんある

中身のほうは「決定版」を名乗るだけのものが入っている。

ELDEN RING Tarnished Editionの内容。発売は2026年8月28日、価格は79.99ドル、本編とShadow of the Erdtreeを標準収録、新スタートクラス2種、トレントの新カラー3種、新規防具4セット
Tarnished Editionの収録内容。Loot Times作成
  • 本編+大型拡張「Shadow of the Erdtree」を標準収録
  • 新スタートクラス「ヘビーナイト」「イーダスナイト」を追加
  • トレント用の新カラー3種、新規防具4セット
  • 予約特典として専用ジェスチャーを2種

価格は79.99ドル(英国では64.99ポンド)で、パッケージ版はゲームキーカード方式。

注目したいのは、この追加コンテンツがSwitch 2版だけの特典ではない点だ。PS5、Xbox Series X|S、PC版のユーザーも同内容の追加コンテンツパックを個別に購入できるとアナウンスされている(価格は約4.99ユーロ)。移植を単発の商品にせず、シリーズ全体の小さなお祭りとして設計してあるのが分かる。

ゲームキーカードという、パッケージの話

もうひとつ触れておきたいのが、パッケージ版の形式だ。

本作の物理版はゲームキーカード方式になる。箱を開けてカードを挿しても、そこにゲーム本体が入っているわけではなく、ダウンロードのための鍵が入っている、という形式だ。実際に遊ぶにはネットワーク経由の取得が必要になる。

この方式が採られるのは、容量の問題が大きい。大型拡張まで含んだ『エルデンリング』を丸ごとカードに収めようとすると、単価の高い大容量カードが必要になり、価格に跳ね返る。キーカードにすればそこを回避できる。

ただ、ディスクやカードを「所有する」感覚を大事にしている層からすると、これは物理版の意味がかなり薄まる話でもある。中古で売れる点は残るけれど、棚に並べたものがいつまで遊べるかはサービスの継続次第になる。この形式が今後のSwitch 2の標準になっていくのかどうかは、注視しておきたいところね。

Switch 2に大作が集まりはじめている

視野を広げると、この移植は単独の出来事ではない。

『FF7 リベレーション』もSwitch 2を含む4機種で同時発売されることが発表されているし、Diablo 4の名前も挙がっている。数年前なら「携帯機でも遊べるハードには載らない」と見なされていた重量級が、次々と候補に入ってきている。

その最初の関門を、エルデンリングは1年の延期という形で通った。後続がどう通るかは、このハードのラインナップの厚みをそのまま左右することになる。

編集部の見解:1年動かした判断に、まず拍手を送りたい

今回の一件で評価したいのは、仕上がりよりも判断のほうだ。

最初のデモで酷評を受けて、そこから発売を1年動かす。これは口で言うほど簡単な決断じゃない。年内発売という約束には販売計画も広告枠も予算も紐づいている。延期は「作れていない」という悪印象も丸ごと背負う。

それでもやった。ここは本当に、心から褒めたい。

近年のゲーム業界で何度見せられたか分からないのが、明らかに間に合っていないものをそのまま出して、発売後にパッチで直すと約束するという流れだ。買った人間を有償のデバッガーにして、評判を焼いてから謝る。あれを繰り返してきた結果、プレイヤーは新作の発売日を信用しなくなった。

バンダイナムコはその選択をしなかった。買う前の人間の期待より、買った後の人間の体験を上に置いた。当たり前のことのはずが、当たり前ではなくなっている。だからこそ、この1年の延期は評価されるべきだと思う。

とはいえ皮肉も付け加えておくと、これができたのは『エルデンリング』というブランドの価値が1回の売り逃しより遥かに大きかったからでもある。看板の無いタイトルは、同じ判断をしたくてもできない。美談であると同時に、体力の差の話でもあるということね。

同じ「大作をSwitch 2に載せる」文脈では、『Diablo 4』のSwitch 2版とされる動きも浮上している。あちらはシームレスなオープンワールドを常時ロードする設計で、しかもオンライン常時接続が前提だ。エルデンリングが1年かけて通った道を、また別の形で通ることになる。

8月28日は過ぎた。答え合わせはこれから

この記事を書いた時点では、まだ発売前だった。

プレビューは限定的なオフスクリーン映像がベースで、フルボリュームのオープンワールドを何十時間も探索したときに安定して動くのか、ボス戦のような高負荷なシーンで崩れないのかは確定情報ではなかった。発売内容をまとめた記事のほうでも同じ留保をつけている。

いま必要なのは、実機での計測値と長時間プレイのレポートだ。それが出そろったときが、この1年の延期が正解だったかどうかの本当の答え合わせになる。

ここは、数字が出てから改めて書く。

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